大前研一「質問は、イノベーションの源」

by 大前 研一(経営コンサルタント)

質問は、イノベーションの源だ。現状に対して問題意識を持っていたり、疑問や不満を感じていたりしなければ質問はできない。質問しないと考えは進まないから、答えも出ない。つまり、質問して初めて問題の解決策が見つかるし、新しいアイデアも生まれるのだ。

日本企業が最も元気だった時代は、この「質問する力」が経営者にあった。代表的な例が、センシング技術を基にオートメーション機能機器を次々に開発した立石さんや、ファインセラミックス技術で部品産業を変えた京セラの創業者の稲盛和夫さんだろう。

パナソニック(旧・松下電器産業)創業者の松下幸之助さんも同様だ。たとえば、草創期の同社の大ヒット商品になった「二股ソケット」は、天井から下がる電球ソケットが唯一の電源だった当時、母親が暗い部屋の中でアイロンをかけている姿を見た幸之助さんが「電球をつけたままアイロンがけができないか?」と質問して誕生したとされている。

彼らは、自分が「答え」を知っていると自惚れたりしない。だから、途中で手を抜いたり諦めたりすることもない。ただ目の前の問題点や不満に対して「何とか改善できないか?」「別のアプローチなら解決できるんじゃないか?」と何度も質問し、とことん考えて答えを見いだそうとした。その結果、的確な「ソリューション」を見つけ、日本の高度経済成長を牽引する様々な新商品を世界に送り出してきたのである。

世界を変える新技術や新商品の“原点”は、単なる知識量や資本力ではない。突破口を見つけるまで問い続ける「質問力」にあったと思う。

Reference:「仕事・お金の悩み」に関する成功者の言葉#4

人生をよりよく生きるために必要なTサイクルの8つの要素。そのうちの3つ、「自己承認」「他者承認」「自己効力感」から、人の悩みは、大きく3つのカテゴリー、「自己の悩み」「人間関係の悩み」「仕事・お金の悩み」に分けることができます(参考記事:「人が悩む3つの要素」「人が悩む3つの要素#2」)。

例えば、「自己の悩み」とは、自分の能力や健康のこと、「人間関係の悩み」とは、教育や交友、子育てのこと、「仕事・お金の悩み」とは、キャリアや給与のこと。

今回は、「仕事・お金の悩み」に関する名言をご紹介しました。





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”See what you are. Don’t ask others, don’t let others tell you about yourself. Look within and see

ー Sri Nisargadatta Maharaj ”
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理系屋代表