人の悩みは、大きく3つのカテゴリー、「自己」「人間関係」「仕事・お金」に分けられる。例えば、「自己」に関する悩みとは、自分の能力や健康のこと、「人間関係」に関する悩みとは、教育や交友、子育てのこと、「仕事・お金」に関する悩みとは、キャリアや給与のこと。
今回は、成功者の「仕事・お金」への向き合い方や捉え方を、名言や格言を通して紹介する。
木田 知廣 (シンメトリー・ジャパン代表)
好き嫌いにかかわらず、リーダーシップを「発揮せざるを得ない」状況というのはあるものです。要因は出世や昇進だけではありません。子供の学校でPTAの役員を任された、マンションの管理組合で理事長に選ばれた、ということもあるでしょう。
そんなとき、リーダーらしく堂々と振る舞えないと、周りからは「せっかく任せたのにがっかり」「リーダーの器じゃない」などと厳しく評価されてしまいます。「任せたそっちが悪いんだろう」と言いたくなりますが、グッと飲み込んで悔しい思いをかみしめる――。そんな経験をもつ人もいると思います。
そんな方に紹介したいのが「サーバント・リーダーシップ」です。(中略)
サーバント・リーダーシップでは、従来の組織図を逆転して逆三角形で考えます。つまり、会社の業績を上げる原動力は、逆三角形の上にいる現場の社員であるとの発想です。したがってリーダーの役割は、「組織の中の人びとを助ける」、つまり現場の人が業績を上げるのをサポートすることになります。
Reference:西郷どんに学ぶ「下僕のリーダーシップ」
和波 俊久(Lean Startup Japan LLC代表)
—-起業するときは「実現したいアイデア」があり、それをもとにどう事業化するのか、先に計画を立ててから実行するのが一般的だと思います。しかし和波さんは、「ビジネスモデルを考えるほど、失敗する確率が高くなる」と著書で言っていますが、その理由を教えてください。
和波:ビジネスモデルというアイデアを持つとそれを実現することだけを目指してしまい、経営者が成長しなくなってしまうからです。今も昔もビジネスは「アイデアが良ければ成功する」と言われています。しかし、私自身の体験や支援してきた起業家の成否を観察すると、最初にアイデアを固めなかった起業家のほうが圧倒的に生き残る確率が高いのです。(中略)
和波:まさに、GoogleやFacebookの創業者たちが成功した理由も同じで。彼らが検索エンジンやFacebookを生み出せたのは、良いアイデアを思いついたからではありません。自分たちが取り組んでいる課題がなぜ発生して、どう解決していけばいいのかをひたすら考えたからです。こうした課題を考え抜くと、課題の構造を正しく捉えることができ、的を射た解決策がアイデアとして出てくるんです。つまり、アイデアは起業のスタートラインではなく、課題を理解して、解決策を模索し続けた後に辿り着いたゴールなんです。
Reference:成功したければアイデアからスタートするな。「ビジネスモデル症候群」の著者が語る、失敗しない起業論
大前 研一(経営コンサルタント)
質問は、イノベーションの源だ。現状に対して問題意識を持っていたり、疑問や不満を感じていたりしなければ質問はできない。質問しないと考えは進まないから、答えも出ない。つまり、質問して初めて問題の解決策が見つかるし、新しいアイデアも生まれるのだ。
日本企業が最も元気だった時代は、この「質問する力」が経営者にあった。代表的な例が、センシング技術を基にオートメーション機能機器を次々に開発した立石さんや、ファインセラミックス技術で部品産業を変えた京セラの創業者の稲盛和夫さんだろう。
パナソニック(旧・松下電器産業)創業者の松下幸之助さんも同様だ。たとえば、草創期の同社の大ヒット商品になった「二股ソケット」は、天井から下がる電球ソケットが唯一の電源だった当時、母親が暗い部屋の中でアイロンをかけている姿を見た幸之助さんが「電球をつけたままアイロンがけができないか?」と質問して誕生したとされている。
彼らは、自分が「答え」を知っていると自惚れたりしない。だから、途中で手を抜いたり諦めたりすることもない。ただ目の前の問題点や不満に対して「何とか改善できないか?」「別のアプローチなら解決できるんじゃないか?」と何度も質問し、とことん考えて答えを見いだそうとした。その結果、的確な「ソリューション」を見つけ、日本の高度経済成長を牽引する様々な新商品を世界に送り出してきたのである。
世界を変える新技術や新商品の“原点”は、単なる知識量や資本力ではない。突破口を見つけるまで問い続ける「質問力」にあったと思う。
Reference:日本企業が元気だった時代の経営者は「質問する力」があった
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”Only when you require no approval from outside yourself can you own yourself
ー Neale Donald Walsch ”
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