永田和宏「二つを選択する必要ができてきたときは、おもしろいほうから選べ」

by 永田 和宏(京都大学 名誉教授)

何か人生の生き方の選択を迫られたとき、あるいはそれほど重大事でなくとも、自分の生活にかかわる、あるいは研究にかかわる選択をする機会が訪れたとき、〈安全なほうをとるか、おもしろいほうをとるか〉、どちらを優先するかは、その人間の生き方にとって、きわめて大きな意味を持つはずである。とくに進路選択にかかわる場合は、その後の人生をどうやり過ごすのかに直結する問題である。

私は学生たちに、二つを選択する必要ができてきたときは、取り敢えずは〈おもしろいほう〉から選べと言い続けている。おもしろいほうから選べば、たいていはうまく行かなくて、別の選択を迫られることになるほうが多い。しかし、それで失敗しても終わりではない。たいていの場合は、選択の変更がやむなしとなったところで、遅すぎるということはない。

しかし、最初から安全なほうを選んだ場合には、それで何かが変わるという可能性はきわめて低い。常に安全なほう、安全なほうと選び続けていく人生は、どんどんその人間の人生を小さなものにしていくだろう。それは、私には耐えがたく退屈なものに思えてしまうのである。これはまあ、気質の問題だから人それぞれでいいのだが、いったんは、自分の可能性にチャレンジしてみることは、一回しかない「自分だけの人生」を生きるうえで、大きな意味を持っていると、私は個人的に思っている。

ー 知の体力

Reference:若い人は一度、「落ちこぼれ」を経験せよ 京大名誉教授からのアドバイス

人生をよりよく生きるために必要なTサイクルの8つの要素。今回は、そのうちの1つ、興味や関心など、自分(自己承認)に関する名言をご紹介しました。




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”Children think not of what is past, nor what is to come, but enjoy the present time, which few of us do

ー Jean de La Bruyère
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理系屋代表