by 半沢 直樹(銀行員)
森山「部長は、前に言ってくれましたよね。ビジネスは感謝と恩返しだって。俺たちが、今必死に頑張っているのは銀行を救うためでもあるんですよ。それなのに、銀行は感謝どころか邪魔しかしない。理不尽すぎませんか?」
半沢「そうだな」
森山「皆、自分のことばっかり。自分の出世のことしか考えていない。ふざけるな!やってられませんよ!!」
半沢「気に入らないか?」
森山「当たり前でしょ」
半沢「じゃあ、戦え」
(中略)
森山 「さっき戦えって。あれどういう意味ですか?」
半沢 「そのままズバリだよ」
森山 「漠然すぎませんか?どうしたらいいのかまだ分からないし。誰を相手にすれば良いのかも」
半沢 「戦う時、敵がいつも正面にいるとは限らない。気がついたら戦いが始まっている時だってある。けどな、一番やっかいなのは、敵が自分自身の時だよ。大丈夫だ。信念さえ持っていれば問題ない」
森山 「信念ですか」
半沢 「そうだ。組織や世の中はこういうものだという強い想いだ。剣道で言えば、自分の型になるのかな」
森山 「ってことは、部長は持ってるんですね」
半沢 「簡単なことだけどな」
森山 「せっかくなんで聞かせてもらえませんか?」
半沢 「いいだろう。3つある。一つ。正しい事を正しいと言えること。一つ。組織の常識と世間の常識が一致していること。一つ。ひたむきで誠実に働いた者が、きちんと評価されること」
森山 「当たり前のことに聞こえますけど。なんか、奥が深いですね」
半沢 「当たり前だよ。その当たり前が今の組織は出来ていない。だから誰かが戦うんだ」
森山 「原因は何なんでしょう?」
半沢 「さっきお前が言ってたじゃないか」
森山 「えっ!?」
半沢 「自分のためだけに仕事をしているからだ。仕事は客のためにするもんだ。ひいては世の中のためにする。その大原則を忘れた時、人は自分のためだけに仕事をするようになる。
自分のためにした仕事は、内向きで、卑屈で、醜く歪んでいく。伊佐山や三笠や大和田みたいな連中が増えれば当然、組織は腐っていく。組織が腐れば、世の中も腐る。
森山、これからお前はいろんな相手と戦うことになるだろう。だがな、最初の敵はいつも自分自身だ。勝敗は時の運だが、決して自分の構えを崩すな。いつまでも鋭い太刀筋の森山でいてくれ。これは、俺の願いだ」
Reference:半沢直樹2 第4話
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