成功者に共通する5つの要素#2

前回同様(【関連記事】成功者に共通する5つの要素)、成功者の共通点が、Tサイクル(参考記事:語録.comとは?)の構成要素※になっていることを、成功に関する名著を通して考察する。

※Tサイクルの構成要素([ ]は副要素):自己承認、他者承認、自己効力感、目的、行動、[信念]、[個人的要因]、[環境的要因]

内藤 忍(資産デザイン研究所社長)

起業して10年後に生き残る会社は、一説には5%と言われています。しかし本当に、起業というのはそんなにハードルが高いものなのでしょうか?

私の周りには起業して、5年、10年経っても何とか会社を維持運営している人がほとんどです。彼らにどんな共通点があるか観察してみました。

1.小さく始めてリスクを取りすぎない、2.自分の得意分野で勝負する、3.人脈を上手に活用する、4.好奇心、向上心を常に忘れない、5.営業力がある、6.1つのことに執着しない、7.良い意味でプライドがない(一部省略)

Reference:起業で「消えていく人」と「生き残る人」の違い

<解説>

  • 「1.小さく始めてリスクを取りすぎない」とは、小さく始めて大きく育てること。すなわち、目的行動のことである
  • 「2.自分の得意分野で勝負する」とは、強みを活かして競争すること。すなわち、強みと競争しようとする意思が必要であるから、先天的資質や能力、性別などの個人的要因と行動の源泉である自己効力感のことである
  • 「3.人脈を上手に活用する」とは、人間関係のこと。すなわち、他者の欲求を満たすことで他者から認められ人間関係はできるので、他者承認のことである
  • 「4.好奇心、向上心を常に忘れない」とは、新しいことを学ぶ、あるいは今持っているスキルをさらに磨きあげるといった成長志向のこと。すなわち、自分の興味や関心、自分自身の能力を維持し高めていく行動の源泉のことなので、自己承認自己効力感のことである
  • 「5.営業力がある」とは、能力のことなので、個人的要因のことである
  • 「6.1つのことに執着しない」「7.良い意味でプライドがない」とは、過去に執着している人やこだわりの強い人は、世の中の変化(環境的要因)についていくことができない。自分を柔軟に変えていくこと、すなわち、信念に関することである

以上から、起業して生き残る会社の共通点は、Tモデルの主要素である自己承認、他者承認、自己効力感、目的、行動、副要素である信念、個人的要因、環境的要因で説明ができることがわかる。

平井 陽一朗(ボストンコンサルティンググループ パートナー&マネージング・ディレクター)

三菱商事で学んだポイントは大きく4つあったように思います。

(1)基礎的なスキルを体で覚える
(2)自ら取りに行く
(3)社内ネットワークをつくる、活用する
(4)ロールモデルをさがす、つくる

Reference:私が三菱商事入社1年目で学んだ4つのスキル

<解説>

  • 「(1)基礎的なスキルを体で覚える」とは、個人的能力(個人的要因)のこと
  • 「(2)自ら取りに行く」とは、主体性(自己承認)とやる気(自己効力感)と行動のこと
  • 「(3)社内ネットワークをつくる、活用する」とは、他者承認(他者から認められないとネットワークは作れないし、活用できない)のこと
  • 「(4)ロールモデルをさがす、つくる」とは、社会人とはこうあるべきとする信念と模範とするべき具体的な目標(目的)をさがす、つくること

以上から、三菱商事で学んだポイントは、Tモデルの主要素である自己承認、他者承認、自己効力感、目的、行動、副要素である信念、個人的要因で説明ができることがわかる。

イーロン・マスク(SpaceX・テスラ創業者)

今やビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズ、ジェフ・ベゾスに並ぶ存在となった彼だが、完全無欠というわけではない。過去には大きな失敗を経験してきた。だが彼は金もうけだけでなく、世界の変革に意欲を燃やしている。これを念頭に、以下にマスクから学ぶ成功のためのモットーを4つ紹介する。

1. 地に足をつけ、志は高く、2. 仕事に心と魂を入れ込む、3. 失敗しても諦めない、4. 内省することの重要性(一部省略)

Reference:E・マスクのスペースXとテスラ起業に学ぶ、成功のための4か条

<解説>

  • 「1. 地に足をつけ、志は高く」とは、理想ばかり追い求めず(理想だけでは具体的な行動に移せない)、現実を見た上で理想に近い目標(目的)を掲げること。
  • 「2. 仕事に心と魂を入れ込む」とは、自己承認他者承認(心)と自己効力感(魂=心の活力)のことである
  • 「3. 失敗しても諦めない」とは、自己効力感を維持することである
  • 「4. 内省することの重要性」とは、どうすれば改善できるか常に考え、批判や批判者の声を聞くこと。すなわち、行動の結果を真摯に受け止め(信念)、他者の欲求(他者承認)を重視することである

以上から、イーロンマスクに学ぶ成功のための4か条は、Tモデルの主要素である自己承認、他者承認、自己効力感、目的、行動、副要素である信念で説明ができることがわかる。

稲盛 和夫(京セラ名誉会長)

人生の方程式とは、「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」というもので、私が20歳から30歳までの間に考えたものです。

どうも人生は、この3つのファクターの積で表せるのではないか。3つのファクターは掛け算ではなくて足し算される、と言う人もありますが、私は足し算ではなくて、積でかかると思っています。

<解説>

「考え方」とは、信念(自分の考えを正しいと信じる)のこと、「熱意」とは、自己効力感(行動の源泉)のこと、「能力」とは、個人的要因(頭の良し悪しのみならず、肉体的な能力や健康状態)のことである。以上から、人生の方程式は、Tモデルの主要素である自己効力感、副要素である信念、個人的要因で説明ができることがわかる。

なお、稲盛氏曰く、「能力」と「熱意」は、ゼロからプラス100点まで、「考え方」は、マイナス100点からプラス100点まであるため、考え方がマイナスであれば、人生の結果は全てマイナスになってしまうとのこと(人生の方程式は掛け算なので)。

考え方というのは、ことほどさように大切であり、心の座標軸にどういう考え方をすえるのかによって、人生はガラッと変わってくるのです。

Reference:稲盛和夫の持論「人生成功の方程式」とは

まとめ

二回にわたって、成功者の共通点と、Tサイクルの構成要素が一致することを考察してきたが、成功者の共通点がTサイクルの構成要素全てを網羅していないとしても、相関があるということをご理解頂けただろうか。今後は、相関があるということを前提に、各要素における名言や格言を紹介していく。





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” Success is getting what you want; happiness is wanting what you get

ー Ingrid Bergman
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理系屋代表