by 甘利 恵理子(SONY統括課長)
乳幼児を育てながらマネジメントをする日常は、周囲の男性たちのスタイルと同じようにはいかないことがほとんどだった。17時過ぎに会社を出なければ保育園の迎えに間に合わない甘利さんが、育児と管理職としての役割の両立のためにとった方法は「徹底した情報共有」だ。部下の中でも信頼できるリーダー職2名に、常に仕事の進捗状況を伝え、重要な連絡事項をやりとりするメールにはすべてCCをつけて、「人事以外の情報はほとんどオープンにした」。
いつでも業務を引き継げる環境を整えることで、子どもの発熱などの窮地を切り抜けてきた甘利さんだったが、二人目の出産から復帰したタイミングで、いったん課長職を下りるという決断をする。タッチパッドや指紋センサーなどの導入に関わる電気設計の部署で、いち担当者として、いわば“ふりだしに戻る”選択をしたのだ。
「私にとっては、無理なく長く働き続けるための前向きな選択でした。管理職になるというと、一生そのまま昇進のレールの上を走り続けなければならないような気がしますが、仕事に打ち込める状況の変化によって、一度上げた手を下げてもいいんじゃないでしょうか。冷静に周りを見渡してみれば、男性だって一度閑職についてから“返り咲く”人はけっこういますよね。女性も長期的な視点をもって、キャリアのアップ&ダウンをイメージするほうが気持ちが楽になると思います」
担当者に戻った甘利さんの上司になったのは、かつて机を並べていた気心のしれた仲間でもあった。課長経験のある甘利さんは上司が求める指示の意図が手に取るように分かり、「若い頃よりもずっと優秀な担当者になれた」と笑う。
その後、甘利さんは係長になり、会長兼社長CEO秘書など経て、2年前に現職の統括課長に昇進した。(中略)
キャリアは上り坂でなくていい。でこぼこ道だからこそ見える世界だってある。そんなメッセージを、甘利さんは社内の若手女性向け研修の機会でも伝えるようにしている。
図解で語録
この言葉をTモデル(関連記事:ゆう「人生は変えられる」)で考えると、以下のようになります。
Reference:NewsPicks
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”Straight roads do not make skillful drivers.
ー Paulo Coelho ”
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