今日は、宇宙を支配している法則についてお話したいと思います。
現在、宇宙には4つの力が存在していると考えられています。
4つの力とは、「重力」、「電磁気力」、「強い核力」、「弱い核力」です。
重力はどんな力か想像できると思いますので、それ以外の力について簡単に説明します。
物質は、原子からできています。そして、原子は原子核と電子からできています。
原子核はプラス、電子はマイナスの電気を帯びているので、原子核と電子は互いに引き合います。これが「電磁気力」です。
また、原子核はプラスの電気を帯びた陽子と、中性子(電気量はプラスマイナスゼロ)からできています。そして、大抵の原子核は、複数の陽子と複数の中性子から構成されています。
こう聞くと、プラスの電気を帯びている陽子同士って反発すると思いませんか?
でも、反発して原子核から飛び出してしまったら、原子は存在できなくなります。
原子がないと、その集合体である物質も存在できなくなるため、宇宙そのものが存在できないということになります。でも、宇宙はちゃんと存在していますよね?
つまり、反発しあうはずの粒子同士を引き付ける力があるということです。それが「強い核力」と呼ばれるものです。
逆に、引き合うはずの粒子同士を引き離す力が存在することもわかっています。それが「弱い核力」です。
実際、原子核を構成している中性子は、マイナスの電気を帯びた電子と反ニュートリノと呼ばれる中性の粒子を放出して、プラスの電気を帯びた陽子に変わります。
でも、不思議に思いませんか?
なぜ宇宙には、4つも力があるのでしょう?
1つにまとめることができれば、この宇宙を1つの式で書き表すことができます。そうなれば、まさに万物(ばんぶつ)の理論と呼ぶにふさわしい理論の誕生です。
実は、重力を除く3つの力はまとめて考えることができます。これを「標準理論」といいます。一方、重力を説明する理論は、「相対性理論」と呼ばれています。でも、この2つの理論は正反対の理論なのです。
なぜなら、相対性理論は宇宙のようなマクロの世界を、量子論は原子のようなミクロの世界を説明する理論だからです。そしてさらに、これらの理論には、それぞれ万物の理論と呼べない問題点があります。
例えば、相対性理論では、ブラックホールの中心やビッグバンの瞬間を説明することはできません。一方、標準理論には重力が含まれていません。
したがって、この2つの理論を超えた大きな理論があるはずだと考えられています。それが「超弦(ちょうげん)理論」と呼ばれる、今、万物の理論に最も近いとされている理論です。
超弦理論の特長は、あらゆる物質を振動で考えているところです。
現在、我々は、物質は様々な素粒子から作られていることを知っている。
そしてまだ証明はできていないが、そうした全ての素粒子は、いわば音のような存在だと我々は考えている。弦を振動させた時に生まれる”音”だ。
その場合、電子とは何か?
電子とはある周波数で振動する輪ゴムのようなものだと考えている。それをはじくと、音の高さ、つまり周波数が変わる。すると、突然ニュートリノに変身する。
もう一度はじくと、力を伝える素粒子に変わる。何度も何度もはじくと、あの標準理論に登場する素粒子が全て現れる。だから、標準理論は振動する弦が奏でる音楽に他ならない。
つまり、超弦理論とは、1つの弦の振動ですべての素粒子を説明しようという理論なのだ。
その場合、物理とは何か?
物理はいわば振動する弦が奏でる様々なハーモニーだと言える。
では、化学とは?
化学はいわば複数の弦をはじいた時に生まれるメロディーだ。
それでは、宇宙とは何か?
それは弦による交響曲だ。
大学、大学院とずっと物理をやってきた僕にとって、この説明は目から鱗でした。まさか、こんなシンプルに物理を表現できるなんて。
ただ、超弦理論にはまだまだ解決すべき課題が残っているので、今の段階では万物の理論と呼ぶことはできません。でも、もし超弦理論が万物の理論であるならば?
「感動」や「共感」というのは、相手の心の振動が自分の心に伝わり、共鳴している現象と考えることができます。また、「虫の知らせ」や「テレパシー」も、相手の心やモノの振動が自分に伝わっている現象なのかもしれません。
つまり、心を”振動”で説明できる(かもしれない)ということです。
Reference:NHK
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”Opportunities don’t happen, you create them.
ー Chris Grosser ”
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