河端真一「勉強ができる・できないは遺伝や才能ではなく、ほぼ100%環境によって決まる」

by 河端 真一(進学塾「ena」学院長)

子どもを指して、「この子には才能がある」「もともと頭がいい」などという言い方をすることがあります。

大脳生理学者のなかには、人の能力のうち2、3割は、生まれ持った才能、つまり遺伝的能力が占めると主張する人もいます。

スポーツにおいては確かに体型など遺伝的能力の影響は大きいかもしれませんが、勉強においてはどうでしょうか。

私の教育者としての経験から思うに、その子の能力のうち遺伝的能力が占める割合は、限りなくゼロに近い。つまり、勉強ができる・できないは遺伝や才能ではなく、ほぼ100%環境、すなわち保護者の配慮によって決まると考えています。

勉強ができない子は、その子に生まれ持った能力がないからそうなったのではありません。育ってきた環境が悪かったから、できない子になってしまったのです。

環境が悪いというのは、具体的にいえば保護者に放置されてきたということです。どんな勉強の仕方をすればいいのかを教えてもらえずに、勉強に適した環境も与えられずに、野放しのままに育ってしまったら、どんな子でも勉強ができない子になります。

反対に、きちんとした環境を与えれば、勉強ができる子に育ちます。

環境を与えるといっても、机とイスを用意して、教科書や筆記用具を渡せばそれでいいわけではありません。保護者が範を垂れ、勉強の仕方を教え、やらせてみて、できているかどうかしっかりと管理する必要があります。

大人だって同じです。たとえば、販売店などであれば、マネジャーが営業担当者を管理します。一人ひとりの営業担当者に適切な目標を示し、営業プロセスを指示して、進捗状況を把握し、時には必要な助言やサポートをすることで、ようやく売上目標に近づくことができます。

マネジャーが管理してもいないのに、営業担当者が自発的に売上を上げてくれることはありません。

大人でさえ、上司から適切な指導がなければきちんと仕事ができないのですから、子どもであればなおさらです。

子どもは、困難を避けてイージーゴーイングな道を選びがちです。保護者によってきちんとしつけられなければ、勉強どころか挨拶の仕方、食事のマナーだって覚えません。

動物も同じ。馬だって生まれたままに育ったら、人間を背中に乗せて走ったりはできません。人間の管理下できちんと調教されるからこそ、競走馬になることができるのです。

「管理」という言葉には、何かに縛り付けるような、そんなイメージがあるかもしれませんが、そうではありません。環境を整えてあげるということです。

Reference:勉強ができる・できないは、遺伝や才能ではなく○○で決まる。

人生をよりよく生きるために必要なTサイクルの8つの要素。今回は、そのうちの1つ、個人を取り巻く状況(環境的要因)に関する名言をご紹介しました。





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”Forgiveness is a gift to myself. I forgive, and I set myself free

ー Louise Hay
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理系屋代表