岡藤正広「まずは一芸に秀でることが大事」

by岡藤 正広(伊藤忠商事 代表取締役会長CEO)

――商社は新入社員のときに配属された部門が繊維だったら、その後もずっと繊維部門内でのポストをこなすという人事制度でした。その見直しもありうるのでしょうか。

そうなると中途半端な人材になるよね。今うちのテレビCMに「ゴマ部長」いうてね、業界で有名なゴマのプロが出ています。こういうプロがおって、初めて商売が成り立つ。

とにかく商品のプロにならなきゃいけない。ゼネラリストというのはやっぱりね、中途半端で使い物にならない。その道のプロになり、ある程度の水準になってから、いろんなことを経験したほうがいい。

まずは一芸に秀でることが大事」というのが僕の考え。商社は今までそのようにしてきたと思うんです。

でも、1カ所にずっとおると問題も出てくるのでローテーションで動かす。しかし動かし過ぎると、中途半端な人材にしか育たない。

だから多少リスクがあっても十数年は一つの道で鍛える。種をまいてしっかり根付く前に、しょっちゅう別の鉢に植え替えとったら、ちゃんと育たないでしょ。ある程度根付くまではそのまま置いておいて、植え替えはその後でというようにせなあかん。

だけど、一つの商品のところに凝り固まると、なかなか変化に対応できない。ほんと難しいですよね。一芸に秀でつつも変化に対応できる人材をどう育てていくか。組織のあり方とかそういうのも変えていかなあかんのかも。

Reference:伊藤忠・岡藤会長が説く商社パーソンの心得

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理系屋代表