以前の、といってもつい10年~15年前の武蔵野のマネジメントは、簡単にいえば「指示」でした。あれを仕上げておきなさい、これを売ってきなさい云々という具合です。実際にはもう少し乱暴といいますか、「おらおら、早よやらんかコラ」「とっととお客様訪問してこい、タコ」みたいな口ぶりであったことは、事実です。
ですが、ストレス耐性の高かった昔はそれでも特に大きな問題はありませんでした。管理職は、部下に指示すべきことをしっかり覚えておいて、そしてきちんと実行させてさえいれば組織は回ったのです。
いまは「絶対に」そんなことはやれませんね。(中略)
そこでマネジメントの手法を根本から変えました。従来の「指示」のマネジメントは止め、代わりに「傾聴」に徹することにしたのです。つまり「ああしろ、こうしろ」ではなく、「きみはこの会社(武蔵野)でどうしたいのか、どうでありたいのか」を聞く。すると、いかにストレス耐性の弱い新人であろうと前向きなことをいいます。「給料は××万円くらい取れるようになりたい」「来年には主任になりたい」などと。
こういうふうに相手の希望を知れば、具体的なアドバイスができます。「××万円の給与となると、わが社の規定の号俸(賃金表において号数ごとに設定された給与額)では10号俸ほど上がらなくてはいけないよ」「つまり、A評価を2回続けて取る必要があるね」「きみの場合、A評価を取るためにはどうしたらいいかというと…」などと。
すると以降、新人は上司からの助言を非常に受け容れやすくなります。早い話が、あれこれ指示を受けてもあまりストレスを感じにくくなる。どうして? 「こうでありたい」という本人の実現するための指示だからです。ある意味では傾聴のマネジメントというのは、その仕事をする意義を理解・納得してもらうための手続きだともいえるでしょう。
…という話を、かねて懇意にしている編集者にしたところ、彼は目を丸くしていいました。「そこまでして差し上げなくてはならないのですか」。私はいいました。「当然でしょう」。だってそういう時代ですから。彼ら若い人たちがストレスをあまり感じないで済む環境をつくってきたのは、いってみれば私たちです。である以上、そのツケも私たちが払わなくてはなりません。
図解で語録
この言葉をTモデル(関連記事:ゆう「人生は変えられる」)で考えると、以下のようになります。
自分が置かれている環境を正しく認識することで、自らの目的(会社の業績を上げるetc)を達成するための最適な行動を取ることができます。
Reference:BizCOLLEGE
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”When you talk, you are only repeating what you already know – but if you listen, you may learn something.
ー J.P. McEvoy ”
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