細谷功「考えるとは、疑ってかかること」

by 細谷 功(ビジネスコンサルタント)

「正しい」「間違い」といった意見は、ほとんどの場合、絶対的なものではなく「状況による」ものがほとんどだからです。

ところが、人間というのは自分が置かれた状況が、すべての人と同じであるという前提で物事を論じがちです。

自分が成功したやり方は、すべての人にうまくいくはずだという思い込みから、このような「間違った」意見が世の中に広がるのです。だから、これはその当人や関係者にとっては「正しいこと」でも、状況が変われば「間違い」にも十分なりうるということです。

ここでも問題は、そのような主張をしている人が「部分しか見ていないことに気づいていない」という「無知の無知」(無知の知の逆で、無知であることを自覚していない状態)に陥っていることです。

このようなことが起きる要因の大きなものとして、世の中の大多数の人が信じている常識やルールは、環境の変化によって陳腐化することが挙げられます。

にもかかわらず、一度大多数に正しいと思われた常識、子供のときに身につけた価値観や一度覚えた仕事の価値観というのは、なかなか変えることができません。このために先に説明したようなことが後を絶たないのです。

このような懐疑の矛先を向けるものの1つに「自分自身」があります。いわゆる「頭の固い」(あまり物事を考えずに1つの考えに固執する)人たちの特徴として、自分の信じている価値観を疑わないことが挙げられます。

ある意味で、これは生きていく上での「信念」として重要な場面も多い半面、柔軟な発想を阻害する諸悪の根源ともなりえます。

このような状態から抜け出すためのきっかけが、この自分自身の価値観を疑ってかかるということです。

Reference:「信念」に関する成功者の言葉#3

人生をよりよく生きるために必要なTサイクルの8つの要素。今回は、そのうちの1つ、自分が正しいと信じていること(信念)に関する名言をご紹介しました。





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” The value of a college education is not the learning of many facts but the training of the mind to think

ー Albert Einstein ”
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理系屋代表