矢野香「無言の時間が失言を防ぐ」

by 矢野 香(スピーチコンサルタント)

「間」がなぜ失言を防ぐのか、実際の例をご紹介しましょう。

選挙投票日に放送される選挙特番。池上彰氏が候補者に鋭い質問を投げかけるのは、今や定番となっています。今回の衆議院選挙の際、小泉進次郎氏とのやりとりは失言せずにうまくかわした好例でした。

「どうしてこんなに人寄せパンダに使われるのかという思いはあったでしょう」

小泉氏にとっては失礼ともとれるようなこのような質問を池上氏は投げかけました。ムッとして「人寄せパンダじゃありませんよ!」と反論してもおかしくない場面です。

ところが、小泉氏の対応は見事でした。池上氏の質問にすぐには答えず、まずは2秒ほど無言。そのあと、「まあ、パンダだったら客を呼べないより呼んだほうがいいから、そこはしっかりとシャンシャンに負けずに役割を果たします」と返したのです。

この2秒の無言の時間こそ「間」です。

質問されて「間」をおかずに答えようとすると、真っ先に頭に浮かんだ言葉をつい言ってしまいます。これが失言につながるのです。

2秒や3秒というわずかな時間でも、人の頭は目まぐるしく働き、「どう答えればベストなのか」を考えます。さらに、一呼吸置くことで感情的にならずに済む。数秒の「間」を取るか取らないかで、失言率はまったく変わります。さらに間をとって回答する姿は、相手には余裕をもって回答しているような自信を印象づけます。

話し上手な人のなかには、立て板に水のように流暢に話す方もいます。実はこれはリスクが高い話し方です。まず失言が増える。さらに相手の頭に話の内容が残らない。上手に話すことよりも、「間」を取りながら、ゆっくりわかりやすくしっかり伝えることが大切なのです。

ー たった一言で人を動かす 最高の話し方

Reference:「人間関係の悩み」に関する成功者の言葉

人生をよりよく生きるために必要なTサイクルの8つの要素。そのうちの3つ、「自己承認」「他者承認」「自己効力感」から、人の悩みは、大きく3つのカテゴリー、「自己の悩み」「人間関係の悩み」「仕事・お金の悩み」に分けることができます(参考記事:「人が悩む3つの要素」「人が悩む3つの要素#2」)。

例えば、「自己の悩み」とは、自分の能力や健康のこと、「人間関係の悩み」とは、教育や交友、子育てのこと、「仕事・お金の悩み」とは、キャリアや給与のこと。

今回は、「人間関係の悩み」に関する名言をご紹介しました。





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”If man is to live, he must be all alive, body, soul, mind, heart, spirit

ー Thomas Merton ”
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理系屋代表