瀧本哲史「教養がなければイノベーションは生まれない」

by 瀧本 哲史(京都大学客員准教授)

鈴木 ただ教養って漠然としたイメージのある言葉でもありますよね。先生は、その効用ってなんだと思いますか?

瀧本 一つは教養がなければイノベーションは生まれないということです。イノベーションという言葉を「新結合」と訳したほうがわかりやすいかもしれない。つまり他の分野のものどうしを組み合わせることで、これまでになかったものが発明される。ビル・ゲイツとスティーブ・ジョブズの有名な論争があるんだけど……。

鈴木 マイクロソフトのビル・ゲイツとアップルのスティーブ・ジョブズの。

瀧本 ええ。「リベラルアーツは意味がない」というゲイツの論に対して、ジョブズは真っ向から反論したんです。「アップルはテクノロジーとリベラルアーツの交差点になるべきだ」って。「Connecting the dots」というのは、スタンフォード大学での卒業生へのスピーチで語られた言葉ですが、これはまさに彼の実体験に基づいた話なんです。ジョブズは大学でカリグラフィー、西洋書体の講義を受けていたんです。これ、コンピューター開発には関係がなさそうでしょう。でもアップルがデスクトップパブリッシング(DTP)で大成功を収めたのは沢山のフォントがあったからです。関係なさそうな点が偶然つながったわけです。

鈴木 そうか、フォントって「字体」、カリグラフィーですもんね。

瀧本 さっき、回り道は人生に大事だって話になったけど、ジョブズの成功はまさに回り道あってのものですよね。一見離れたところにあるテクノロジーと古典的な教養が交差して、イノベーションが生まれた。現代の神話のような話です。

Reference:美しき「東大王」と学ぶ「生きにくい世の中を渡っていくための教養術」

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”Starting small doesn’t mean thinking small. No matter how small of a step. Take it

ー Marie Forleo ”
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理系屋代表