花咲舞に学ぶ銀行読本

花咲舞に学ぶ銀行読本「銀行員は起業に向いている!?」

by ゆう(元銀行員・キャリアアナリスト)

(相馬)まあ、銀行じゃ、若手が失踪するなんて話、たまーに聞くけどな。(中略)居なくなった行員の寮の押し入れ開けてみたら、未処理の書類がダダダダダダッーなんて後日談付きでな。

花咲舞に学ぶ銀行読本

まあ、大方、仕事に慣れない新人が多忙な業務に耐えきれずに逃げ出したってところだろ。

(花咲)失踪かぁー。銀行の仕事ってキツいから1人でストレス溜め込むと危ないですよね。私も気をつけないと。

花咲舞に学ぶ銀行読本

今回は融資課に関する話でしたね。

ドラマにあったように公私混同で融資を意図的に行わず、企業を倒産に追い込むということはさすがにありませんが、出社しなくなる人は実際にいます。

僕の経験からいうと融資課の人に多かった印象です。そんな多忙?な融資業務について今日は少しだけご紹介します。

融資業務は預金業務(預金獲得など)、為替業務(振込、被振込、外為獲得など)と並ぶ銀行の3大業務のうちの1つで、企業にお金を貸し出す業務のことをいいます。

そんな融資業務を行う担当者に必要なこと。

それは、自分が担当している企業(以下、お客さん)のことをよく把握しておくことです。なぜなら、融資判断をする際、お客さんに代わって銀行内部で説明しなければならないからです。

ドラマの中で、支店長が担当者の保護者に「彼の稟議書は全く理論構成がなっていない、要求水準に満たないものだったから返した」とコメントしていたシーンがありました(↓)。

花咲舞に学ぶ銀行読本

その言葉からわかるように、銀行員はお客さんに融資を実行する時には、ただ自分の思いを書けばいいというものではありません。いくつかのポイントに沿って稟議書を書かなくてはなりません。

そのポイントとは、①要資(ようし)、②返資(へんし)、③担保・保全、④採算、⑤支援の妥当性の5つです。

簡単にいうと、

①要旨は、貸したお金が何に使われるのか確認すること。

②返資は、貸したお金がきちんと返済されるかどうか判断すること。

③担保・保全は、お客さんが倒産した場合など、不測の事態への備えがあるかどうか確認すること。

④採算は、融資をすることでいくら銀行が儲かるのか確認すること。

⑤支援の妥当性は、①~④を踏まえた上での最終結論になります。

これらのことを説明するのは結構大変です。お客さんのことをよく知っておかないとできないからです。でも担当者は上司に聞かれたら、理路整然と答えられないといけません。

わからないからといって融資の都度お客さんに話を聞いていたのでは、お客さんに迷惑がかかってしまいますし、不信がられてしまいます。また、お客さんだけでなく、上司からも担当者としての力量を疑われることになりかねません。

そのため、担当先に定期的に顔を出し、人間関係を構築しておくことは、担当者にとってとても大切なことなのです。

そして訪問した際は、お客さんの事業内容だけでなく、販売先や仕入先、決済条件、資金繰り、お客さんの将来展望、事業を行う上で不安に思っていることなども聞いて、お客さんの全体像を把握しておく必要があります。

このことから、融資業務には、「お客さんと人間関係を構築する能力」に加え、「案件に必要な情報を引き出す能力」「案件を組み立てる能力」の3つの能力が少なくとも必要になることがわかると思います。これらの能力がないと、なかなか融資を実行することは難しいでしょう。

つまり、融資業務は、担当者の力量に大きく左右される業務といっても過言ではないのです。

以上が融資業務の概要です。

でも、担当者は融資以外にも冒頭でご紹介した預金や為替業務も平行して行っています。当然、それぞれの業務にはノルマもあります。もちろん、既存の取引先だけでノルマを達成できない場合は、新規先を開拓する必要も出てきます。

ですが、こうしたことを大変だと感じるかどうかは人それぞれです。大変かもしれませんが、真面目に頑張っていれば、間違いなく力は付きます。

なぜなら、話す相手は経営者が多いですし、業務を通して様々な業界や業種について知ることができるからです。

また、経営に不可欠なお金にも詳しくなるので、将来起業を考えている人には最適な職業だと思います。ちなみに、楽天の三木谷さんは銀行出身です。

最後に、会社の経理など、職業柄、銀行員と接する機会が多い人は、融資のポイントについては知っておいた方がいいでしょう。手続きがスムースになると思います。

Reference:日テレ

『語録.com』『理系就活一問一答』開設者兼管理人。京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、三井住友銀行に入行。預金・為替・融資業務から、銀行システムの企画開発、新卒採用活動まで幅広く従事。退職後は、中小企業向け財務コンサルティング及び金融業界志望者向け就職支援会社設立。現在は、理系ナビのキャリアアドバイザーとして、理系学生の就職やキャリアに関するアドバイスを行う。理系就活支援歴10年。大学講演含め、就活セミナー開催実績100回以上。支援学生数は延べ1500名超。