銀行の赤本(就活生、金融業界志望者向け)

ゆう「銀行が安定しているのは預金と貸金があるから」

by ゆう(元銀行員・キャリアアナリスト)

首位の三菱東京UFJは男子10位ながらも、女子1位という圧倒的な女性人気に支えられ、4年連続の首位。金融機関はベスト10に6社がランクインしており人気は堅調。総合職、地域限定職、幅広い職種など女性のキャリアプランに即した採用で、学生も志望しやすい。

最新の就職人気ランキングが発表されましたね。記事によると、1位は三菱東京UFJ銀行、4位はみずほフィナンシャル・グループ、11位は三井住友銀行、26位はりそなグループと銀行は比較的上位のようです。

でもこうなると、必ずといっていいほど話題にあがるのが「若者の安定志向化」の話。これは裏を返せば、銀行が安定企業として見られている証拠です。

では、なぜ銀行は安定していると言われるのでしょうか?

実はこれ、銀行のビジネスモデルを考えるとよくわかるんです。

わかりやすくする為に、銀行と同じ金融業界の証券会社と比較してみましょう。

証券会社は、顧客に「株」や「債券」といった商品を売って利益をあげています。ただ、商品が売れないと利益はあげられませんから、営業をしなくなると、業績は急激に悪化します。

一方、銀行も商品を売って利益をあげているのは証券会社と同じです。しかし、決定的に異なる点があります。

それは、預金と貸金があることです。

この為、極端な話、銀行が営業しなかったとしても証券会社のように業績が急激に悪化することはありません。

例えば、1%の金利で預金を集めて、それを2%の金利で企業に貸し出すとしましょう。そうすると、その差1%は銀行の利益になります。

銀行に1000億円の預金と貸金があった場合、 10億円(1000億円 × 1% )もの利益を、銀行は営業をしなくても得ることができるんです。

銀行にとって預金は、一般企業で言うところの借金です。なので、銀行にとっての借入金利は、預金者に支払う金利になります。

つまり、先ほどの例では1%で説明しましたが、実際は1%にも満たない金利で預金者からお金を集めて運用しているのです。

ちなみに、最終的なもうけを示す純利益が、国内の銀行グループで初めて1兆円を超える見通しとなった三菱UFJフィナンシャル・グループの預金残高は144.1兆円、貸出残高は101.7兆円です(出典:MUFGの経営戦略 2015年2月)。

しかし、証券会社はこうはいきません。毎日毎日、必死に営業をしないと利益をあげることはできません。

銀行のように、営業をしなくても利益があがるビジネスモデルをストック型のビジネスモデルといいます。一方、証券会社のように、毎日営業をしないと利益があげられないビジネスモデルをフロー型のビジネスモデルといいます。

証券会社に限らず、多くの企業はフロー型のビジネスモデルなので、常に営業マンが走り回らないといけません。そして、こうしたフロー型の場合、景気が悪くなると途端に業績が悪化してしまいます。

一方、銀行のようなストック型の場合、営業マンがまったく仕事をしなくても、一定の売上が確保されます。そのため、不況になったとしてもフロー型の企業よりも安定した経営が行えるのです。

これが銀行が安定していると言われる理由です。

Reference:東洋経済オンライン

『語録.com』『理系就活一問一答』開設者兼管理人。京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、三井住友銀行に入行。預金・為替・融資業務から、銀行システムの企画開発、新卒採用活動まで幅広く従事。退職後は、中小企業向け財務コンサルティング及び金融業界志望者向け就職支援会社設立。現在は、理系ナビのキャリアアドバイザーとして、理系学生の就職やキャリアに関するアドバイスを行う。理系就活支援歴10年。大学講演含め、就活セミナー開催実績100回以上。支援学生数は延べ1500名超。