林修「大切なのは、やりたいことよりできること」

by林 修(東進ハイスクール現代文講師)

(高学歴ニート)林先生が思うこの人できるなっていう評価と、できない(下に見られる)のっていうのはどこで差があったりするんですか?

(林修)社会に出て実際に働くようになると、とにかく問題をいっぱい解くんですよ。例えば、テレビの仕事だったら、どうやって視聴率を上げるかという問題を解かなくてはいけないんです。予備校講師だったら、どうやって受講者を増やすかっていう問題を解かなきゃいけない時に、結局社会で要求される能力は、解決と創造。この2つですよ。

(林修)このどちらか、両方すごい人はあまり見たことはないです。でも、どっちか持っていれば、この人できるねって。僕は本当に、できる人は学歴関係ないって思っていますから。だって、実際今話題になっているZOZOの前澤さんは、高校卒業ですよね。ですから、学歴なんかなくても、あれだけの事ができて、アパレルは今不況だと言われるのにネットで一気に売るシステム、採寸しなくてもスーツを皆が買えるようなシステムを創造してしまうと、剛力彩芽と月に行けるんです(笑)。このどっちか見せつけないと。

(高学歴ニート)ちょっとよろしいでしょうか。僕は現在31歳で、早稲田大学を卒業してから、働かずにニート、あるいは、無職状態で過ごしてきた期間が比較的長かったです。

(林修)働く気はあるんですよね?

(高学歴ニート)好きな仕事じゃないと働きたくはないですね。万一嫌いな仕事であっても、給料がめちゃくちゃ高くて、年収1000万、2000万、3000万とかだったり、年間休日が180日くらいあったら、そりゃまあ喜んで働きますけど、なかなかそういう仕事は現代日本にはない。自分としては、働かずにブログで食っていければと思っています。

(林修)やりたい仕事なのかどうかということですけど、僕がよく書くマトリクスを少し書いてみると、結局、社会で働くにあたって、どっちの軸で考えるかっていうのが、本当におおげさではなく、人生の分かれ目になるなって思ってるんですよ。

(林修)ここ(できる・できない)を絶対的な分かれ目と考える人と、こっち側(やりたい・やりたくない)を絶対的な分かれ目と考える人。だから、できる・できないで仕事を分ける人は、やりたいかやりたくないかっていうことが絶対的な差になると。

やりたいことしかやりたくない人は何人くらいいるの?まあ、ほぼ全員。それでダメってことは全然ないです。それは、ジョブズ型。ジョブズはこう言ってますよね。”私は、本当に好きな物事しか続けられないと確信している。何が好きなのかを探しなさい。あなたの仕事にも恋人にも”と。

(林修)一方で、僕みたいなタイプっていうのは、できるかできないか。しかも、このできるっていうのは、自分ができると思っていることではなくて、多くの他者が認めてくれるできる。

(林修)この人は、この仕事ができるよねっていう意味で使っています。で、僕はこっち(できる・できない)の方がすごく大事なんですよ。この「やりたい」「やりたくない」「好き」「嫌い」ということについては、実は僕は結構偶然だと思っているんですよ。

(林修)2011年の東大の文章にこういうのがあるんですね。アイヌの長老のやりたい事何だと思います?こういうことをやりたいんだと思っている。どういう事をやりたいと思っているか?

(高学歴ニート)南国に住みたいとか。

(林修)悪くない、悪くない。

(高学歴ニート)アイヌの環境を温暖にしたい。

(林修)そうじゃなくて、そこに書かれているのは、「素手で熊を仕留めたい」。熊っていうのはアイヌの世界では、神の使いだったんです。それをある時期から鉄砲で撃つようになってしまったことに、どうもやっぱり気を咎めている。その文章を授業で使う時に何を言うのかというと、人間の何かしたいという願望って、実は環境とか情報とか外部の要因に出会ったもので。(先ほど)ゲーム作りたいって言ってましたけど、もし君が100年前に生まれていたら、たぶんその願望なかったんですよ。

(林修)僕は何々したいっていう願望は、結構偶然だなって思ってるんですよ。人は情報に欲望を喚起されて、何々したいと思う。だから、このやりたいってことは、本当に絶対的なものなのか?色んな偶然の出会いの中で、願望がいつの間にか情報が内部化されて、自分の思いにすり替わってないのか?っていうふうに僕は思うところがあるんですよ。

(林修)ただね、何回か色んなことをやって、できるっていうのは偶然じゃないんですよ(必然)。

(林修)そりゃ、仕事が「やりたくてできる」ってことが一番いいですよ。ここは否定してないですよ。でも、ここ(やりたい・やりたくない)で分けるか、ここ(できる・できない)で分けるか、今日少し考えて下さい。考え方を変えろとも言いません。僕みたいな判断をする人間がいるってことも頭に入れといてくれれば、それで十分。

僕は、「やりたくないけどできる」事が平気でできるんです。

(林修)例えば、学生時代にピンチヒッターで代わりに塾に行ってってことで何件か行きましたけど、どの塾に行っても「来週から来てよ」と言われたんです。だけど、やりたくなかったんです。だから、大学出て銀行に入ったんです。その後、色んな投資とかもやってやりたいことをやったんです。でもね、「向いてないな」って思ってたんです。それで、3年で決着をつけたんです。決着をつけた理由は、それ以上借金が増えると返すのが大変なことになりそうだなと。

考えてみた時に、何で俺この仕事をやりたいと思ったのか。当時ね、羽振の良い連中が六本木でワーワーやってる。そして今こんなにも儲かっている。テレビとか雑誌にも出てくる。情報なんです。あー、この情報で俺踊っていたなと。だから、この軸(やりたい・やりたくない)で考えるのやめて、できることをやろうと思って。それで、予備校講師に徹したら、本当、この30年間上手くいかなかったこととか、悩んだことは何一つないです。

(高学歴ニート)それは、ベターではあるけど、ベストではないと思ってまして。できるできないは、確かにすごい重要だと思うんですけど、挑戦すべきだなとは思ってて。あの時やれば良かったなっていうことがあったら、悔いが残る気がするんですよね。

(林修)それでいいんじゃないですか。だから、僕自身も最初、投資会社作ったりしたのは、やりたいことに一応はチャレンジした。僕はそれを「失敗の実験」と呼んでいる。

(林修)何か向いてないなとは思っていたんですよ。でも、ここで色々やらかしたから、納得するも何も、とにかく借金を返さないといけなかったんで。だから、今日最初にも言ったけど、皆さんが所謂ニートという立場でやっていることを基本的に悪いと思ってないんですよ。ただ、見切りをつける時期っていうのもあるだろうなと。

(高学歴ニート)ちなみに今は、塾講師楽しいですよね?

(林修)全然

(高学歴ニート)林先生は、収入あるじゃないですか?いくらでも。

(林修)いくらでもはないけど、まあまあ、あります。

(高学歴ニート)本当にやりたくなかったら、辞められるわけですよね?でも、辞めてないじゃないですか?それって、徐徐にやりたくなってきているということじゃないんですか?

(林修)全然

(高学歴ニート)やる必要ないじゃないですか?

(林修)今は、本当に「こういうことをやって下さい」と言われるのを「はい」ってやっているんです。

(高学歴ニート)この収録自体も本当はやりたくないんですか?

(林修)そうだよ。

(林修)だって考えてごらん。僕は、自分が人の話を聴く人間じゃないから、人が僕の話を聞くとも思っていないんですよ。だから、「この収録、えー、そんなことやるの?」って。でもね、こういう企画を考えてやろうってところまで、たくさんの人の知恵と労力があるんですよ。で、しかも、「林修の〜」って名前が付いている所で、ここで所謂、高学歴ニートに授業をやる場を作ったわけです。これは僕にとって一種のゲームなんですよ。

ゲームに参加する以上は、絶対に勝ちたいんです。これは、僕の1つの仮説なんですけど、人が本当に何かこれがいい(快感)って思う部分は、たぶんシンプルじゃないかなと。だから、やりたいことをやっている時に、「よしっ!」と思う人もいれば、結果を出したことで「よしっ!」と思うタイプもいて、競争に参加して戦って勝つということ自体が好きで。

去年の4月からフジテレビで3つの番組が始まったんですよ。梅沢さんがMCで坂上さんがMCで俺がMCの番組が。梅沢さんなんかは、この番組でお世話になって、すごく良い方だと思ってるし、坂上さんもやっぱり立派だなと思ってますけど、でもあの2人の番組に視聴率で勝った時は「よしっ!」と思う。

(高学歴ニート)競争はすごく良いと思ってるんですよ。向上があったりとか、こんなに頑張ってるやつがいるんだとか知れるのはすごい良いと思うんですけど、競争になると1人しか幸せになれないんじゃないかなって。

(林修)でもね、資本主義の世の中にいる限り、根本原理が競争です。ここは、もう否定の仕様がない。この国で生きていくんなら、この競争をさけて競争が間違いだと否定することに意味がないんですよ。

(高学歴ニート)今、林先生がやりたいことってないんですか?

(林修)それもなくはないんですけど。本当は話すつもりはなかったんですけど。もう1つやりたいこと、できることの話でいうと、僕もともとやりたいことは、本を書くことだったんですよ。で、出版社が「本出しませんか」と来たんですよ。ちょっと名が知れた時に。今でしょの前に。その時に自己啓発の本を書いてくれって言ってきたんですよ。で、自己啓発?と。僕読んだこともないと。で、そういう時に「いや、読んだこともないし、書きたくもないから、書きませんよ」という人はいますよね。僕はあまりそう思わないんですよ。「あっ、そうか。俺は外部から見たら、自己啓発の本を書ける人間に見えているんだな」と。

(林修)トータルで、その出版社で100万部くらい売れたんですよ。でも、その印税をもらっても、売れたって聞いても、特になんとも思わなかったんですけど、僕に声をかけてきたのは、フリーの編集者だったんです。でも、僕を見つけた功績もあって、その大手の出版社で正社員に採用が決まったんですよ。そしたらね、奥さんの両親がすごく喜んでくれたんです。つまり、娘の婿は「将来、不安定だと思ってたら、安定した地位になって良かった」と。良かったなと。これだけで、自分の書きたくない本を書いて良かったと。そしたら、何が起きたかと。書きたい本を書いて下さいと。皆これを望んでいるんでしょ?書きましたよ。タイトルは「すし、うなぎ、てんぷら」。

(林修)全く売れない(笑)。

(林修)僕の出した本の中で重版にならなかった唯一の本です。ここで皆さんどう思います?売れなかったけど、自分の書きたいと思っていたものが書けたからいいやって考えもあるでしょ。でも、僕ね、本当に苦くて。全然売れない自分の本見て、こんな屈辱味わうんだったら、書きたくない本の方がうんとマシだったなと。

(高学歴ニート)でも、リベンジしたいと思わないんですか?

(林修)1回自分が書きたいものを書いて、迷惑をかけちゃったことは消えないから。プロだから、1回迷惑かけたら、それはもう失格だよ。

(高学歴ニート)僕、林先生みたいな方に出会ったの初めてで、考え方とかすごく勉強になりました。ありがとうございました。

(林修)でもね、僕、授業でもいつも言うんですよ。「僕の言うこと素直に聞くなんて無理」だよって。人の話がもし活きるとするならば、もう皆さんだってある程度自分の方向があるじゃないですか。僕の考えを大きく取り入れてくれれば、ベクトルの合成で大きく傾くし、いや、ちょっと林は何か違うな、このくらいだなと思えば、このくらいしか傾かない。別に傾きの度合いが大きければ大きいほど、良かったとも思わないですよ。

(高学歴ニート)「やりたいこと」は偶然って言ってくれて、「できること」は必然だと。だったら、できるものを見ていこうという気になりました。

(林修)番組が頼んだようなコメントありがとうございます(笑)

Reference:林先生が驚く初耳学!

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