出口治明「ビジネスに役立つのは何よりも古典」

by出口 治明(立命館アジア太平洋大学 学長)

――多くの著作がおありですが、共通しているのは「教養」というテーマです。ビジネスパーソンとしての教養はどのように身につければいいとお考えですか?

教養とは、知識×考える力です。料理にたとえれば、材料を集めて上手に調理すればおいしい料理ができますが、たくさんの材料を集めることが知識の習得であり、上手に調理するのが考える力です。知識は、時間の関数、つまり時間をかけて学べばある程度身につけることができます。一方の考える力は、レシピと一緒で、最初は誰かの真似をすることになります。考える型や発想のパターンを学ばなければ、考える力を身につけることはできません。それなら、アリストレテスやデカルトのような超一流の脳みそに鍛えてもらった方がいいわけです。だから、ビジネスに役立つのは何よりも古典。まずは古典を読むことです。

――ビジネス書を読む暇があるなら、まず古典を読めと。

はい。古典は、市場の洗礼に耐えながら、長い時間淘汰されずに生き残って来た良書です。そこには時代を超えた本質が詰め込まれています。

僕は日本生命でロンドンオフィスの責任者を3年、国際業務部長を3年務めましたが、その6年の間に世界中の100人以上の企業トップと付き合いました。彼らの座右の書は、ルソー、ホッブス、デカルト、アダム・スミスなどの古典でした。

――ご自身の座右の書は。

リーダーシップ論で言えば、唐の第二代皇帝、太宗・李世民の言行録である「貞観政要」です。以前、東京で複数企業の部長・課長クラスを30人ほど集めた「出口塾」を開いていました。ひとりずつ立って「貞観政要」を声を出して読み、現代訳をし、意見を出し、僕が総括する、江戸時代の寺子屋方式の塾です。4年間で、のべ100人以上の塾生がいましたが、参加したほぼ全員が「どんなビジネス書よりも面白くて役に立つ」と話していました。

――ビジネス書は役に立たない。

ビジネス書を読むのは時間の無駄です。もちろん中には良いビジネス書もありますが、市販されているビジネス書の中で、10年後まで残る本が一体何冊あるでしょうか。多くのビジネスパーソンが古典を読まずにビジネス書を読み漁っている状況は、間違っていると思っています。

――どこが駄目なのでしょう。

たとえばビジネス書に触発されて志を持ち、周到に準備して、ベンチャー企業やNPOを立ち上げる、といった流れには、僕はリアリズムがまったくないと思うのです。

歴史を振り返ってみればわかることですが、最高のべンチャーは、新しい国を創ることです。しかし国を創建した人に「大きな国を作ろう」と最初から周到に考えていたような人はほとんどいません。様々なめぐりあわせがあり、天の刻、地の利、人の和の3つが揃って、いつの間にかリーダーになり、国を拓いてきたケースがほとんどなのです。人間という存在はそれほど賢くはないので、志があって準備をしたくらいでは、大したことはできません。人生は人智を超えたところにあるのです。僕がライフネット生命を立ち上げたのも、APUの学長に就任したのも、友人の紹介や誰かの推挙など様々なめぐりあわせによるものです。僕自身は川の流れに身を任せるように生きてきました。それが人生のリアリズムだと思っています。

Reference:ビジネス書を捨て、古典で教養を身につけよ!還暦ベンチャーから70歳で新分野に転身した「人生のリアリズム」 〜立命館アジア太平洋大学(APU)学長出口治明氏インタビュー〜

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『語録.com』『理系就活一問一答』開設者兼管理人。京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、株式会社三井住友銀行に入行。個人及び法人営業にて、海外進出支援、ビジネスマッチング、事業承継・組織再編支援、M&Aのアドバイザリー等の案件に従事した他、ストラクチャードファイナンスやシンジケートローン、資産流動化等を活用した戦略の立案実行支援、新卒採用、プロジェクトマネージャーとしてリスク管理や市場部門システムの企画開発に従事。退職後は、個人事業主として、金融業界志望者向け就職支援、及び、中小企業・個人事業主向け財務コンサルティングに従事。また、株式会社ドリームキャリアでは、理系ナビキャリアアドバイザーとして、理系に特化した就職支援・採用支援に従事。現在は、株式会社コトラにて、理系学生の就職やキャリア支援の他、金融やコンサル、IT、経営層向けの転職支援を行う。理系就活支援歴は10年。大学講演含め、就活セミナー開催実績100回以上。支援学生数は1500名超。