銀行の赤本(就活生、金融業界志望者向け)

ゆう「企業は人材の質を下げてまで採用していない」

by ゆう(元銀行員・キャリアアナリスト)

リーマンショック以降、アベノミクスや東京オリンピックへの期待感から景気に浮揚感がでてきました。

その影響は、就職難と言われ続けてきた新卒採用市場にも波及してきており、これまで採用人数を減らしてきた企業も、最近は「学生の売り手市場」と言われたリーマンショック以前の水準にまで戻しているところが増えてきています。

「じゃあ、就活は楽勝だな」

と思われた、そこのあなた!

残念ですが、そうでもないんです。増やしたといっても、これには条件が付いているんです。

その条件とは、「企業に貢献できる人材かどうか」ということです。

これは、長年不況下にあった企業の取り組みを思い出せばよくわかります。

皆さんはあまり意識したことがないかもしれませんが、企業が人を雇うというのは大変なことなんです。

なぜなら、社員一人を定年まで雇用した場合、給与だけで何億というお金がかかるからです。

社員に係る費用には、給与以外にも、研修費や福利厚生費などがあります。これらを全部合わせると、莫大な費用になることがわかるでしょう。

しかし、企業は、こうした費用以上に、会社に貢献してくれると期待するから雇用するんです。そういう意味でいうと、企業が人を雇うということは、その人に投資していると考えることができます。

バブルと呼ばれた好景気の頃の企業は、投資できるお金をたくさん持っていたので、できるだけ多くの学生を確保しておいて、使い道は後で考えるという採用手法をとっていました。

そのため、学生の多くは、ほとんど就職活動をすることなく、内定を獲得することができたわけです。

しかし、バブルが崩壊し、景気が悪化すると、企業は生き残るために様々な努力をしなくてはならなくなりました。

経費を削減するため、多くの企業で、過剰な人員のリストラも行われました。

企業が社員を解雇するというのは、単に辛いというだけでなく、今まで投資した費用が無駄になってしまうことを意味します。

そうした苦い経験から、企業は、誰にでも内定を出すことはしていません。

これは、新卒採用だけでなく、通年採用や第二新卒採用をしている企業が最近増えてきていることから考えても明白です。

企業は、入社してから確実に活躍できる人材が獲れるまで、妥協することなく採用活動を続ける傾向にあります。

したがって、売り手市場になりつつあるとはいえ、企業が、人材の質を下げてまで採用していないことを、まずは理解して下さい。

『語録.com』『理系就活一問一答』開設者兼管理人。京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、三井住友銀行に入行。預金・為替・融資業務から、銀行システムの企画開発、新卒採用活動まで幅広く従事。退職後は、中小企業向け財務コンサルティング及び金融業界志望者向け就職支援会社設立。現在は、理系ナビのキャリアアドバイザーとして、理系学生の就職やキャリアに関するアドバイスを行う。理系就活支援歴10年。大学講演含め、就活セミナー開催実績100回以上。支援学生数は延べ1500名超。